公務員の不動産投資|副業禁止規定に違反しないための注意点とは?

2019.8.1   2021.6.15
レイビー編集長 小泉由貴乃レイビー編集部
不動産投資とは

公務員でも、給与以外に収入源が欲しいと考えている人は少なくありません。

副収入を得る手段として人気が高いものの一つとして、不動産投資が挙げられます。

実は公務員は、その信用力の高さから不動産投資と相性のいい職業だといわれています。一方で、運用方法を誤ると副業とみなされる恐れもあります。

この記事では、公務員が副業禁止規定に違反せずに不動産投資をおこなう条件と、その注意点について解説します。



不動産投資が副業としてみなされないための3つの条件

公務員は副業禁止規定によって原則的に副業が禁止されていますが、一定の条件の範囲内であれば副業とはみなされず不動産投資が可能です。

一定の条件とは、以下の3つです。

①一定規模以下であること

一つ目は、不動産投資が一定規模以下であることです。

一定規模とは「5棟10室」を指します。

つまり一戸建てなら5棟、アパート・マンションなら10室以上所有すると、不動産投資が事業的規模と判断され、副業規定に抵触してしまうということです。

・独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。

・独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。

なお一戸建てと区分マンションを所有する場合は、区分マンション2室を一戸建て1棟として計算します。

たとえば区分マンション6室と一戸建て2棟を所有する場合は、「5棟10室」の規定条件を満たしてしまい、副業とみなされてしまいます。

詳しくは後述しますが、「5棟10室」に至らなければ(「4棟以下、かつ9室以下」であれば)、それだけで「副業禁止規定」違反にならないかと言うと、そうとも言い切れません

ケースによってはそれでも副業に該当するとみられるリスクも残っています。こうした点についてよく目配りをした上でないと規定違反になってしまうことに注意してください。

②年間の家賃収入が500万円未満であること

年間の家賃収入が500万円以上となると副業禁止規定に抵触してしまいます。

・不動産又は駐車場の賃貸に係る賃貸料収入の額(これらを併せて行っている場合には、これらの賃貸に係る賃貸料収入の額の合計額)が年額500万円以上である場合

たとえば月額家賃が7万円のワンルームマンションを区分所有した場合を考えてみましょう。

・年間家賃収入:7万円×12か月=84万円
・5戸所有した場合の年間家賃収入:84万円×5戸=420万円
・6戸所有した場合の年間家賃収入:84万円×6戸=504万円

すなわち、月額家賃が7万円のワンルームマンションの場合、5戸までなら問題なく不動産投資をおこなえますが、6戸所有すると年間家賃収入が500万円以上となるため、副業とみなされてしまうということです。

③管理会社に管理を委託すること

公務員は、国や地方公共団体などの職員として国民の生活を向上させるために活動しています。不動産投資をすることでその本業に支障があってはなりません。

本業に支障をきたさないためには、物件の管理をすべて管理会社に委託することが必要です。

管理を委託していないと本業以外に管理業務をしているとみなされ、副業禁止規定に抵触してしまいます

・入居者の募集、賃貸料の集金、不動産の維持管理等の不動産又は駐車場の賃貸に係る管理業務を事業者に委ねること等により職員の職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること。

副業禁止規定に該当した際の対処法

もしも一定規模を超えて不動産投資をしたい場合は、必ず承認申請を出しましょう。

副業禁止規定に該当している場合でも、申請をして許可を得れば不動産投資ができる可能性があります。

一定規模を超える不動産投資で特に許可が得られやすいケースは、相続によるものです。

例えば、親が一定規模を超えている不動産を所有しているとしましょう。仮に相続が発生した際、公務員だからという理由で相続を放棄させるわけにはいきません。

こういったケースの場合は、不動産を相続したうえで管理会社に管理を委託することで、規模を超えたとしても認められることが多いのです。

公務員は不動産投資を有利におこなえる

公務員は副業が禁止されているため、不動産投資を躊躇する人は少なくありません。

一方で「公務員は不動産投資を有利におこなえる」「公務員だからこそ不動産投資がオススメである」とも言われています。

その理由は次の3点です。

①公務員は与信が高い

最大のメリットは、公務員の与信の高さです。

与信とは、金融機関の融資や融資枠の供与などをいいます。与信は、年齢や勤務先、勤続年数や年収といった属性によって判断されます。

公務員の雇用主は国や地方公共団体ですので信頼度が高く、民間企業のサラリーマンに比べて与信が高いのが一般的です。この点では、公務員であることは有利に働きます。

与信が高ければ審査に通りやすく、融資金額も多くなり、金利や借入機関などの条件面でも優遇されます。そのため公務員は、資金不足で希望の物件を購入できないというケースは比較的少ないといえるでしょう。物件を購入したものの金利が高いため利益が減ってしまう、というリスクも低くなります。

②与信は公務員の職種と無関係

公務員といっても、一般事務をおこなう行政職や技術職、自衛官や海上保安官などの公安職など、さまざまな職種があり、仕事内容にも大きく差があります。

しかし、資金調達のための与信には、職種による大きな差はありません。公務員であれば職種に関わらず高い与信が認められる傾向にあります。

③本業が忙しくてもできる

公務員が不動産投資をするためには、管理を委託会社に任せる必要があります。これは言い換えれば、管理を自分でしなくてもよいため、本業が忙しくてもできるということです。

募集業務や契約手続き、トラブル対応などを自分で直接おこなう必要がないため、手間や時間がかかりません。そのため、たとえば訓練や検閲などで忙しく本業以外に時間を割くことができない自衛官でも、不動産投資が可能なのです。

公務員が不動産投資をおこなう際の注意点

公務員はその信用の高さで不動産投資を有利におこなえる一方、公務員だからこそ注意すべき点があります。

不動産投資を始める前に、注意すべき3点を押さえておきましょう。

①規模に制限がある

公務員の不動産投資には規模に制限があることは前述のとおりですが、それ以下であれば必ずしも副業に該当しないというわけではありません。

そのため不動産投資が副業禁止規定に抵触しないかどうか、まず人事担当者に確認するほうがよいでしょう。

確認しないまま不動産投資をおこなった場合、副業禁止規定に抵触して懲戒処分等を受ける可能性があります。

②利益を追求するためのビジネススキルが必要

公務員は民間企業とは違い、営利を目的とした組織に所属していません。そのため、一般的には、民間の立場にいる方よりも、利潤の追求に対する意識が十分ではない可能性もないとは言えないでしょう。

そうしたことが原因で、結果的に割高な物件を購入してしまったり、空室対策などのリスクヘッジの細かな要素に気付かないといった場合も少なくありません。こういった事態を防ぐために、不動産投資を始める前に利益を生み出す仕組みについて認識を深めておく必要は大きいでしょう。

そのギャップを埋めるための最も有効な手段は、投資セミナーに参加して情報を仕入れ、不動産から利益を得るノウハウを学ぶことです。

不動産投資セミナーは、専門家や投資家などから直接ノウハウを聞いたり相談したりすることのできる貴重な場であり、公務員の方に限らず、不動産投資の初心者の方には必須の機会ですので、積極的に参加して知見を高めることが必要です。

③高額物件を勧められやすい

公務員は与信が高く融資が通りやすいことから、不動産業者から高額な物件を勧められやすい傾向にあります。

多くの不動産業者は仲介手数料で利益を得ているため、融資額いっぱいの高額な投資物件を売ろうと勧めてくる場合もあるのです。

しかし、融資を受けやすいことと、不動産投資で利益を出せることは無関係です。利益が出る投資物件かどうか、自分で冷静に判断する必要があります。

公務員が不動産を選ぶ際のポイント

不動産投資は、初期投資額が非常に高額になります。

そのため、いかにリスクを回避するかが大きなポイントです。不動産を選ぶ際にチェックすべきポイントは次のとおりです。

人気の高い場所にあるか

物件が人気の高い場所にあるかどうかをチェックしましょう。

人気のある場所とはつまり、空室(空き家)率の低い場所のことです。

総務省統計局「平成 30 年住宅・土地統計調査(報道資料)」 によると、空き家率が低いのは、埼玉県及び沖縄県の 10.2%。次いで東京都が10.6%、神奈川県が 10.7%、愛知県が 11.2%となっています。

一つの指標として活用するとよいでしょう。

建物の構造や設備がしっかりしているか

自然災害や騒音トラブルの多い日本において、建物の構造がしっかりしていることは物件を選ぶ際の重要なポイントです。

建物の構造は、木造・鉄骨造・RC造・SRC造に分かれますが、SRC造・RC造は特に防音性・耐震性・耐火性に優れています。

構造や設備がしっかりしていると、建物の経年劣化による家賃収入の低下リスクも抑えられます。

今後、人口が急激に減るリスクはないか

今どれだけ人気の物件であっても、人口が減少する傾向にある場所にある物件は避けたほうがよいでしょう。

総務省統計局「平成27年国勢調査・人口統計」によると、前年度と比べて人口が増加した都道府県は千葉、滋賀、福岡、神奈川、埼玉、愛知、東京、沖縄の8つです。

過去にさかのぼって推移を検証し、物件選びの参考にするとよいでしょう。

まとめ

公務員にとって、不動産投資は相性の良い投資です。

・副業禁止規定に抵触しない範囲であれば、不動産投資は可能であること
・副業禁止規定に抵触する場合は、事前に申請をして許可をとること
・公務員の信用の高さは、不動産投資に有利に働くこと
・不動産を選ぶ際は、空き家のリスク、建物の経年劣化・倒壊のリスクをできるだけ回避する必要があること

以上のポイントを押さえて、公務員の高い与信を活用し、有利に不動産投資をおこないましょう。

そのためには、不動産投資の知識をしっかりと収集する必要があります。

勉強の場として最も効果的なものが投資セミナーです。GLMセミナーでは、不動産投資のメリット・デメリット、不動産所得の作り方、リスクのある不動産の特徴などを徹底的に学べます。

個別相談もできますので、気軽に参加してみてください。

※繰り返しにはなりますが、公務員の不動産投資には規模に制限があります。しかし、それ以下であれば必ずしも副業に該当しないというわけではないので、不動産投資が副業禁止規定に抵触しないかどうか、人事担当者に確認するようにしてください。

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レイビー編集長 小泉由貴乃

監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)

管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、衛生用品メーカーで経理業務を担当。2016年 株式会社グローバル・リンク・マネジメントに入社。建物管理部門に所属し、マンション管理士、管理業務主任者の資格を活かし、管理組合の管理事務に携わる。2019年 レイビーのサイトリニューアルを機に、レイビー編集長に就任。マンション管理業務で得た知識を生かして、コンテンツ制作のディレクションを担当。出社前のジム通いが日課で、趣味はグルメ探索と実家のうさぎを愛でること。 レイビー公式Twitterアカウント(@R_E_I_B)

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