不動産投資でフルローンは正解?メリット・デメリットを徹底解説!

2019.8.19   2020.3.25
レイビー編集長 小泉由貴乃 レイビー編集部
不動産投資でフルローンは正解?メリット・デメリットを徹底解説!

不動産投資をはじめる際には、不動産投資ローンを組んで物件を購入するケースが大半です。

そのときに、頭金なしでローンを組む「フルローン」を選択することもできます。フルローンはレバレッジ効果を最大限活用できるという点でおすすめです。また、自己資金が少なくても、フルローンを活用することで不動産投資ができます。

この記事では、そんなフルローンについてのメリット・デメリットを徹底解説していきますので、不動産投資を検討している方はぜひご確認ください。

フルローンを組むならキャッシュフロー計算が重要

冒頭でお話ししたように、フルローンは少ない自己資金でも不動産投資を始めることができるので、おすすめの手法です。

ただし、フルローンを組むことでローンの借入金額が大きくなるだけではなく、総返済利子の金額も大きくなるため、借入額が高額になるのは事実です。その点は認識しておかなければいけません。

そのため、不動産投資から得る「収入(家賃)」から、ローン返済を含めた「支出」を差し引いた、「キャッシュフロー(お金の流れ)」を考えた上で、フルローンを組む必要があります。

言い換えると、キャッシュフローをきちんと確認した上で収益が出ると判断できれば、フルローンを組んでも問題ないといえます。では、フルローンについて詳しくみていきましょう。

フルローンとは頭金ゼロでの借入のこと

ローンを組んで物件を購入するときには、「頭金を入れて残金分をローンで借り入れる」という方法もあります。

たとえば、3,300万円の物件を購入する場合、頭金に300万円を入れて残金3,000万円分のローンを組むということです。言い換えると、ご自身で資金を300万円用意する必要があるということです。

一方、フルローンの場合は頭金が0円なので、3,300万円全額ローンを組むということです。

つまり、フルローンを組むことで、頭金分の資金を用意せずに物件を購入することができます

オーバーローンは諸費用も借り入れるローン

フルローンと間違えやすいローンとして「オーバーローン」がありますが、フルローンとオーバーローンは、借り入れ範囲が異なります。

オーバーローンとは、物件取得時に発生する以下の諸費用も合わせて借りるローンを言います。

* 金融機関への融資手数料や保証料
* 収入印紙代
* 火災保険料、地震保険料
* 不動産登記費用
* 固定資産税
* 不動産取得税

オーバーローンを組む場合には、上記のような諸費用の金額を算出し、その金額分を物件価格に上乗せして借入をします。

仮に3,300万円の物件購入時に100万円の諸費用がかかる場合には、フルローンで組むと「ローン3,300万円+自己資金100万円(諸費用分)」となります。

一方、オーバーローンの場合は3,400万円(物件3,300万円+諸費用100万円)の全額ローンを組むことになります。

最近では、物件価格以外にかかる諸費用をオーバーローンとして融資をする金融機関も増えてきています。各金融機関の融資条件を確認し、不動産会社や金融機関に問い合わせてみるのもいいでしょう。

金融機関への融資手数料・保証料

これより諸費用について簡単に解説してきます。

まず、物件購入時は金融機関への融資手数料や保証料がかかります。手数料や保証料の金額は金融機関によって異なるので、金融機関を選定する際はこの費用も比較対象にしましょう。

収入印紙代

収入印紙代とは、物件購入時に締結する以下の契約書にかかる「印紙税」です。

* 不動産の売買契約書
* ローンを組むときの金銭消費貸借契約書

火災保険料、地震保険料

ローンを組むと火災保険は加入必須であり、地震保険は任意加入です。支払う保険料はプランによって異なります。

不動産登記費用

不動産登記費用とは、不動産を売買したときに、不動産の名義を売主から買主に移転登記するときにかかる費用であり、具体的には以下項目です。

* 登録免許税(物件の評価額によって金額は異なる)
* 司法書士報酬(登記を依頼する司法書士への報酬)

固定資産税

そもそも固定資産税は、その年の1月1日時点の所有者が支払いますので、基本的には売主が1年間分の固定資産税を払います。

そのため、引渡し日~年末までの分を、「固定資産税の清算金」として買主が売主に支払います。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得したときに発生する税金です。金額は不動産の評価額によって異なります。

フルローンのメリット

この章からはフルローンの話に戻ります。ここでは、フルローンのメリットである以下の点を解説していきます。

* 手元に自己資金を確保しておける
* レバレッジ効果を最大限得ることができる
* 団体信用生命保険効果を最大限活用することができる

手元に自己資金を確保しておける

フルローンを組む最大のメリットは、手元に自己資金を確保しておける点です。

上述した諸費用は、物件価格の3%程度はかかるので、諸費用だけでも100万円以上かかるケースもあります。

しかし、物件取得後に「子供の学費」のための支出や「家族の病気や事故」のように、予期せぬ支出が発生することもあるでしょう。そのような場合に備え、諸費用を支払っても手元資金を確保しておける点はフルローンの大きなメリットといえます。

レバレッジ効果を最大限得ることができる

フルローンを組む2つ目のメリットは、頭金を支払った場合に比べ、レバレッジ効果を最大限得ることができる点です。

レバレッジ効果については、以下について押さえておきましょう。

* レバレッジ効果とは?
* レバレッジ効果が高い=収益が高い

レバレッジ効果とは?

投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で大きな資産を得る」ことです。

仮に、3,000万円の物件(諸費用100万円を含む)を「頭金500万円+ローン2,500万円」で購入するケースと、フルローンで購入するケースでレバレッジ効果を比較してみましょう。

* 頭金500万円:3,000万円÷自己資金600万円(頭金+諸費用)=レバレッジ5倍
* フルローン:3,000万円÷自己資金100万円(諸費用)=レバレッジ30倍

このように、フルローンの方が圧倒的に大きなレバレッジ効果を得ることができます。

レバレッジ効果が高い=収益が高い

レバレッジ効果が高いということは、すなわち収益が大きくなりやすいということです。

投資の利回りは「保有資産額×利回り」で計算されるからです。

そのため、同じ利回りであれば保有資産が高額な方が収益性は高くなり、レバレッジ効果が高いことで高額な資産を保有しやすくなります。

ただし、上述したようにフルローンだと「ローン返済額」が増えるので、その点も踏まえたキャッシュフロー計算が重要になる点は、改めて認識しておきましょう。

団体信用生命保険効果を最大限活用することができる

フルローンを組んで物件購入をする3つ目のメリットは、団体信用生命保険(団信)の保険効果を最大限活用することができるという点です。

団信については以下を押さえておきましょう。

* 団信とは
* フルローンは保険額も大きい

団信とは

団信とは、借入者が亡くなったり、高度障害になったりしたときに、その時点の残債が補填される保険です。

つまり、ローンを組んで不動産投資を行っていた、借入者(物件保有者)が亡くなった場合には、残された家族に「残債ゼロの物件」が残るというわけです。

また、金利が上がったり、追加の保険料を支払ったりする必要がありますが、団信の内容を手厚くすることも可能です。

たとえば、3大疾病付き特約(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や8大疾病付き特約(+高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎)を付けることが可能な点もメリットです。

フルローンは保険額も大きい

ただし、団信はフルローンでなくても加入できるので、フルローンならではのメリットではありません。

しかし、フルローンを組むということは、借入額が大きくなるので補填される金額も大きくなるということです。万が一のときに「高額な保険金額が補填される」という点は、フルローンのメリットといえるでしょう。

フルローンのデメリット

一方、フルローンには以下のデメリットもあります。

* 月々の返済金額が増える
* 審査が厳しくなる

月々の返済金額が増える

やはり、最も大きなデメリットは総返済額と総返済利子の金額が大きくなるので、月々の返済額が増えるという点です。

たとえば、借入期間30年、元利均等返済、金利2%で借入金額ごとの返済額を比較してみます。

* 借入額3,000万円:総返済総額39,918,769円、月々返済額110,885円
* 借入額2,700万円:総返済総額35,926,801円、月々返済額99,797円
* 借入額2,400万円:総返済総額31,934,970円、月々返済額88,708円
* 借入額2,100万円:総返済総額27,943,010円、月々返済額77,620円

このように、フルローンと頭金900万円(借入2,100万円)を比較すると、総返済額で約1,200万円、月々返済で約3.3万円の違いがあります。

ただし、頭金900万円ということは手元資金が900万円減っているということなので、その点を考慮してフルローンを組むかどうか判断しなければいけません。

審査が厳しくなる

フルローンを組む2つ目のデメリットは、金融機関の審査が厳しくなる点です。詳細は後述しますが、金融機関の審査は色々な要素で判断されます。

端的にいうと「借入者が返済できるのか」という点を金融機関は確認しますので、借入金額が増える、つまり、返済金額が上がるほど審査は厳しくなるのです。

フルローン融資を受けやすい条件

前項まででフルローンを組むメリットとデメリットがご理解いただけたのではないかと思います。

その上でフルローンを組みたいと検討している方に向けて、最後にフルローン融資を受けやすい条件を以下で解説していきます。

* 1.収益性の高い物件
* 2.自己資金を持っている
* 3.安定した収益がある
* 4.実績が豊富な不動産会社

そもそも金融機関は何を審査するのか?

フルローン融資を受けやすい条件を解説する前に、そもそも金融機関は何を審査するかという点を解説します。

金融機関が審査する主な項目は以下の通りです。

* 借入者の年収や勤務先、転職歴
* 借入者の雇用形態や年収
* 借入者の信用履歴(過去の延滞歴など)
* 物件の担保価値や収益性

要は安定して継続的な収益があるか、信用に足る人物か、物件の収益性は高いかという点を審査します。

1.収益性の高い物件

前述した条件からすると、フルローンを組みやすい物件は収益性の高い物件です。

たとえば、中古の一棟アパートを取得する際に、そのアパートが何年も満室稼働しており、きちんと黒字経営している物件は収益性が高い物件と判断されやすいでしょう。

2.自己資金を持っている

2つ目は自己資金を持っているという点です。

たとえば、ローン審査をする金融機関に定期預金口座をつくっており、現時点で300万円預けている……となれば、金融機関に対しての信頼材料の1つとなり得るでしょう。

もちろん、自己資金がなくてもフルローンを組むことは可能ですが、このように自己資金を持っている証明ができると、より借入しやすいということです。

3.安定した収益がある

また、たとえば公務員や上場企業・大手企業の会社員は、安定した収入があると判断されやすく、審査に有利です。

不動産投資ローンの場合、その返済原資は不動産からの家賃収入になります。

ただし、空室時はオーナー(借入者)が自己資金からローン返済する必要があります。そのため、安定した収入がある方が審査は有利に進むのです。

4.実績が豊富な不動産会社

そして、最後の条件は物件を仲介・紹介してくれる不動産会社が金融機関を斡旋し、過去に多くの物件を成約させた実績があるという点です。

というのも、不動産投資ローンは金融機関を自分で見つけてくる場合と、不動産会社が斡旋してくれる場合があるからです。

そのため、実績があり、多くの金融機関を斡旋してくれる不動産会社の方が、ご自身に合った審査に通りやすい金融機関を紹介してくれるというわけです。

まとめ

このように、不動産投資でフルローンを組むと多くのメリットがあります。

一方、借入金額が大きくなるだけではなく、総返済利子金の額も大きくなるため、月々の返済額が高くなるというデメリットもあるので、その点はきちんと考慮しなければいけません。

また、フルローンで組むならば、金融機関の審査がハードルになってくるでしょう。

そのため、上述した「フルローンに通りやすい条件」を頭に入れながら、物件選びすることをおすすめします。

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レイビー編集長 小泉由貴乃

監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)

管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、衛生用品メーカーで経理業務を担当。2016年 株式会社グローバル・リンク・マネジメントに入社。建物管理部門に所属し、マンション管理士、管理業務主任者の資格を活かし、管理組合の管理事務に携わる。2019年 レイビーのサイトリニューアルを機に、レイビー編集長に就任。マンション管理業務で得た知識を生かして、コンテンツ制作のディレクションを担当。出社前のジム通いが日課で、趣味はグルメ探索と実家のうさぎを愛でること。 レイビー公式Twitterアカウント(@R_E_I_B)

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