不動産投資ローンは組むべき?メリットと知っておきたい注意点を解説

2020.3.17   2020.3.17
レイビー編集長 小泉由貴乃 レイビー編集部
不動産投資ローンは組むべき?メリットと知っておきたい注意点を解説

不動産投資を始める際、多くの方が不動産投資ローンを利用して物件を取得しています。

しかし、不動産投資を検討している方の中には「不動産投資ローンを組むべきなの?」と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、この記事では不動産投資ローンを組むかどうかの判断基準となるメリットとデメリットを解説していきます。

また、「私は不動産投資ローンを利用できるの?」「住宅ローンと何が違うの?」「収入面や利用時において注意する点は?」と疑問を持たれている方に向けて、不動産投資ローンの仕組みや組む際の注意点などについても詳しく解説していきます。

不動産投資ローンを組むべきか?

不動産投資ローン メリット デメリット

まずは、本題である「不動産投資ローンを組むべきかどうか」の判断基準となる、メリット・デメリットを把握しておきましょう。

不動産投資ローンのメリット

不動産投資ローンのメリットは以下の通りです。

  • レバレッジ効果が高い
  • 収益性が高くなりやすい
  • 手持ち資金を残せる
  • 団体信用生命保険に加入できる

レバレッジ効果が高い

「レバレッジ効果が高い」というメリットを享受したいのであれば、不動産投資ローンを利用することをおすすめします。

不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「小さい資金で高額な資産(投資用不動産)を取得すること」です。不動産投資のレバレッジ効果の高さは、ほかの投資商品と比べても高い部類に入ります。不動産投資ローンを利用すれば、場合によりますが自己資金の10倍程度の資産を取得できるのです。

たとえば自己資金が500万円あるとすると、不動産投資ローンを利用しない場合は500万円までの投資用不動産しか購入できません。しかし、3000万円の不動産投資ローンを組むことができれば、3500万円までの投資用不動産の購入が可能になります。

また、常時満室になるよう運用できれば、毎月家賃収入が入ってきます。値動きの激しい株やFXなどと比べると、不動産は安定的な投資商品と言えるでしょう。

収益性を高めやすい

不動産投資はレバレッジ効果もあって、収益性を高めやすい傾向にあります。一般的に投資における収益は「保有資産額×利回り」で決まるからです。

たとえば、「自己資金500万円のみで購入する物件」と、「自己資金500万円+不動産投資ローンで2500万円を借り入れて3000万円で購入する物件」が、どちらも利回り5%だとすると、500万円の物件の収益は年間25万円です。一方、3000万円の物件の収益は年間150万円になり、ローンの返済が月々10万であったとしても年間30万円を収益として得ることが可能です。

このように利回りが同じであれば、保有資産額が高い方が収益は大きくなるのです。収益が多い物件ならば、ローンを組んで収益分(家賃収入)から返済したとしても、自己資金のみで買った安価な物件よりも多く収入を得ることができます。

つまり、効率良く高額な資産の取得を可能にする不動産投資ローンを利用することで、レバレッジ効果による収益性を高められるというわけです。

手持ち資金を残せる

さらに、不動産投資ローンを組むことで、自己資金の捻出を抑えることができます

これにより、手元資金に余力を残しながら投資することが可能になるので、ご自身や家族の病気やケガといった突発的な支出が発生したとしても、焦ることなく対応することができることでしょう。

団体信用生命保険に加入できる

不動産投資ローンを組むと、一般的には団体信用生命保険(団信)に加入することになります。

団信とは、借入者が完済前に事故や病気などで亡くなった場合などに、その時点の残債を借入者の代わりに金融機関へ弁済してくれる保険制度です。

つまり、団信に加入することで、借入者に万が一のことがあったとしても、ローン完済済みの不動産を家族に残すことが可能になるのです。

不動産投資ローンのデメリット

一方、不動産投資ローンには以下のデメリットもあります。

  • 利息が発生する
  • 金融機関との交渉に時間がかかる

前項で解説したメリットと、これから解説するデメリットを比較することで、不動産投資ローンを組むべきかどうか判断しやすくなるでしょう。

利息が発生する

一番大きなデメリットは、不動産投資ローンを組むことによって利息が発生することです。たとえば、借入金額3,000万円、借入期間30年、金利2%でローンを組んだ場合の返済額は以下の通りです。

  • 総返済額:39,918,769円
  • 月々返済額:110,885円

このように、1,000万円近くの利息が発生します。もちろん、もっと低利率で借りたり、借入期間を短くしたりすることで利息を減らすことは可能です。

それでも、現金のみで購入するより利息分の支払いが増えるのは確実です。しっかりと収支シミュレーションを行い、返済額を把握した上で判断しましょう。

金融機関との交渉に時間がかかる

不動産会社が主導して新築物件を建築している場合、その不動産会社が提携している金融機関でローンを組む(提携ローン)ことが多いでしょう。

しかし、中古不動産を購入する際は、仲介してくれる不動産会社の提携ローンで組むケースは少なくなります。そのため、ご自身で銀行などを探し、融資を打診する必要があるので、その手間がデメリットといえるかもしれません。

不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産投資ローン 住宅ローン 違い

次に、不動産投資ローンと混同されやすい住宅ローンとの違いを知っておきましょう。

  • 対象となる物件の違い
  • 借入可能額の違い
  • 金利の違い
  • 審査項目の違い

不動産投資ローンと住宅ローンは根本的に異なります。そのため、違いを理解することで不動産投資ローンへの理解が深まり、不動産投資ローンを組むべきかの判断材料の1つになるでしょう。

対象となる物件の違い

対象となる物件には以下の違いがあります。

  • 住宅ローン:基本的に自宅のみ(借入者が住む前提の家)
  • 不動産投資ローン:投資用不動産(他人が住む賃貸用の家など)

住宅ローンは投資用物件の購入には利用できません。住宅ローンは借入者が住むための、「自宅購入用のローン」であり、返済原資は給与所得です。一方、投資用不動産は「他人に貸して家賃収入を得るための事業用ローン」であり、返済原資は家賃収入です。

借入可能額の違い

借入可能額は借入者の属性(年齢、勤務先、勤務年数など)によるので一概にはいえません。ただし、目安としては以下の通りです。

  • 住宅ローン:年収の5~8倍程度

金利の違い

利用目的と原資の違いにより、金利に関しては住宅ローンの方が低く設定されています。変動金利であれば、2020年2月末時点で0.5%を切る金融機関もあります。これは主に給与所得からの返済という前提であるため、審査に通る方は収入が安定しており、返済不能になるリスクが比較的少ないとされているからです。

一方、不動産投資ローンは、金融機関や借入者の属性によって金利が大きく異なります。1%前後で借入できることもありますが、2%台~4%前後のケースも多いようです。理由として、不動産投資ローンは事業資金扱いのため、空室の発生などにより、返済不能リスクが高まりがちだとみなされてしまうことがあるようです。しかしながら、勤務先、勤務年数、年収や物件評価などから、金融機関側が融資しても返済に滞りがないであろうという判断した場合には、低金利でかつ高額のローンを組みやすくなります。

したがって、不動産投資ローンを借りる際には、入念な収支シミュレーションを行うことと、事業計画や返済計画とその根拠が重要になるのです。

審査項目の違い

住宅ローンと不動産投資ローンで共通している審査項目は以下のとおりです。

  • 借入者の年齢、年収
  • 借入者の勤務先や雇用形態
  • 借入者の信用情報(過去の延滞歴など)
  • 物件の担保価値

不動産投資ローンの場合は、上記以外に「物件の収益性」も審査項目に入ります。つまり、仮に大企業に勤務していて年収が高くても、物件の収益性が低いと判断されれば、審査に通りにくくなってしまうのです。

不動産投資ローンを利用できない人は?

マンション投資 ローン

次に、不動産投資ローンを利用できないケースについても知っておきましょう。結論から申し上げると、無職の方や信用情報に問題がある人はローンを組むのが厳しくなります

さらに、サラリーマンや公務員の方の場合、年収500万円前後が、不動産投資ローンを組むボーダーラインといわれています。これらの点について詳しく解説していきます。

信用情報に問題がある場合は厳しい

信用情報とは、CIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターなどの機関がストックしている、クレジットカードやローンなどの申込・請求・返済状況の履歴のことです。

「口座にお金を入れ忘れていた」などの理由で、携帯電話代や車のローンなどの返済期日に引き落としが行われなかったケースは起こりうることでしょう。こういった「支払い遅延」の履歴などは、利用・返済情報として上記機関に記録されています。たとえば、クレジットカード利用額の返済を3カ月延滞していたなどの履歴が多数残っていた場合、審査が否決になる可能性は高くなります。

もし信用情報に複数の延滞履歴などがある場合は、履歴が消えない限りローンを組むのは難しくなります。これら信用情報の履歴が残っている期間の目安は5年前後ですが、機関や種類によって履歴が残る期間は異なるため注意が必要です。

年収500万円がボーダーライン

金融機関にもよりますが、上述したように年収500万円がボーダーラインと言われています。

もちろん、500万円未満の方も不動産投資ローンを組むことは可能なケースもありますが、その際は以下のポイントを把握しておきましょう。

  • 複数の金融機関にアプローチ
  • 自己資金を増やして審査を受ける

複数の金融機関にアプローチ

まずは、複数の金融機関にアプローチすることです。

特に、メガバンクをはじめとした大手銀行ほど審査が厳しい傾向があるので、地方銀行や信用金庫、ノンバンク、日本政策金融公庫など、さまざまな審査基準を持つ金融機関にアプローチすることをおすすめします。

自己資金を増やして審査を受ける

そもそも、なぜ年収が低いとローン審査に通りにくくなるのでしょうか。

これには、返済比率(年収に対する返済額の割合)が関係しています。返済比率の高い人ほど返済が滞りやすいというデータがあるため、年収に対して返済額が高すぎると金融機関側が判断した場合、融資不可となってしまうのです。

そのため、自己資金を増やし頭金として投入し、返済比率を下げることでローン審査に通りやすくなります。

ただし、自己資金が増えるほど、上述したレバレッジ効果が薄れる点は認識しておきましょう。

不動産投資ローン借入までの流れ

不動産 ローン

ここからは、実際に不動産投資ローンを組むまでの流れを解説します。

  • 事前審査
  • 事前審査承認
  • 本審査込み
  • 本審査承認
  • 金銭消費貸借契約
  • 融資実行

事前審査

まずは事前審査を行います。事前審査はオンラインのみで完結する金融機関もありますが、事前審査の段階から対面で行うケースもあります。

また、実際に不動産を購入する際には、不動産投資ローンの事前審査に通っていることが売買契約を結ぶ条件の一つになるケースが多いようです。そのため、物件とまずは事前審査が通る金融機関を探す必要があるのです。

本審査

事前審査にて承認された後、本審査に進みます。基本的に、事前審査は支店ベースでの承認となり、本審査の審査は本店ベースの承認となります。

事前審査で承認を得ていても、本審査で否決となるというケースは、少ないですがゼロではありません。特に事前審査から本審査の間にローンの延滞などが発生すると、否決と判断されることがあります。この期間は支払い遅延を起こさないよう、細心の注意を払う必要があります。

金銭消費貸借契約~融資実行

本審査の承認がおりたら、「金銭消費貸借契約」を結びます。金銭消費貸借契約とは、ローンの本契約のことを指します。そして、物件の引渡し日に融資が実行され、融資金と引き換えに物件の引渡しを受けるという流れとなります。

不動産投資ローン借入時の注意点

注意点

最後に、以下の不動産投資ローンを借り入れるときの注意点を解説します。

  • 初期費用が必要
  • 金融機関探しより、物件探しが先

初期費用が必要

不動産購入時には物件購入費用以外に以下の初期費用がかかる点を認識しておきましょう。

  • 収入印紙代
  • 火災保険料、地震保険料
  • 不動産登記費用(大部分は登録免許税)
  • 司法書士報酬(相場は10〜15万円程度。司法書士によって異なる)
  • 固定資産税
  • 不動産取得税(固定資産税評価額×3%で計算する。購入後、半年から1年後に支払う)
  • その他振り込み手数料など

初期費用は物件価格の3%が目安です。

なお、金融機関からの借入を利用する際には、記載の初期費用に加えて、金融機関に支払う事務手数料が発生します。

また、仲介手数料がかかる場合もあります。仲介手数料は不動産業者によって多少異なりますが、物件価格が400万円超の場合には「物件価格×3%+6万円(税別)」が一般的な相場と言われています。

金融機関探しより、物件探しが先

金融機関探しよりも物件探しの方を先に行いましょう

というのも、金融機関の事前審査の段階から物件の担保価値と収益性も加味して審査するからです。購入する物件に対して融資を行うため、物件が決まる前に「3,000万円の融資が可能か」など判断することはできません。

もちろん、物件探し、金融機関探しのどちらも重要ですが、まずは収益性の高い物件探しから始める必要がある点は認識しておきましょう。

まとめ

不動産投資ローンを組むことにより、収益性の高い物件が可能になり、またそれ以外にも様々なメリットがあります。

しかし、デメリットが全くないわけではありませんので、その点を加味した上で上手に不動産投資ローンを組むようにしましょう。

また、ローンの返済額が大きくなりすぎてご自身の生活に差し障りが出てしまっては、本末転倒となります。現在の収入を考え、返済計画を十分に練った上でローンを組むことが重要になります。

同じ物件でも金融機関によって金利や返済額が変わり、またご自身の財政状況や信用情報によっても変わることがあります。

そもそもローンを組めるかどうかにも関わってくるこれらの情報をしっかりと集め、物件探しと同じくらい慎重に行うことが、不動産投資においては重要となることを頭に入れておきましょう。

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レイビー編集長 小泉由貴乃

監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)

管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学卒業後、衛生用品メーカーで経理業務を担当。2016年 株式会社グローバル・リンク・マネジメントに入社。建物管理部門に所属し、マンション管理士、管理業務主任者の資格を活かし、管理組合の管理事務に携わる。2019年 レイビーのサイトリニューアルを機に、レイビー編集長に就任。マンション管理業務で得た知識を生かして、コンテンツ制作のディレクションを担当。出社前のジム通いが日課で、趣味はグルメ探索と実家のうさぎを愛でること。 レイビー公式Twitterアカウント(@R_E_I_B)

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