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インフレ対策とは?個人の資産を守る投資や資産運用をわかりやすく解説
近年の値上げラッシュや円安の影響で、インフレ対策の必要性を感じているけれど、何をしていいのか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
世界では既に急速なインフレが進んでいて、長年デフレが続いていた日本にも、いよいよ本格的なインフレの兆候が見え始めています。
この記事では、インフレやインフレの原因、およびその影響や対策について紹介しています。日本や世界におけるインフレの現状やインフレ対策について知りたい人はぜひ最後までお読みください。
インフレとは?
インフレとは、インフレーションの略で物価が上昇し続けることです。物価が上昇し続けるということは、相対的にお金の価値が下がることにもなります。
例えば、100円の缶ジュースが中身も味も全く同じなのに120円になったとします。100円で買えたものが買えなくなるということは、インフレ後の100円には、以前の100円と同じ価値がないということです。
また、仮に10%のインフレが発生したとすると、元々の生活費が20万円だった世帯がインフレ前と同じ生活を続けようとした場合、必要な生活費は22万円に上昇します。
毎月の収入が30万円の世帯にとっては、10%のインフレ率と同じく33万円まで収入が上昇しないと生活が苦しくなってしまうかもしれません。
インフレの原因と影響
インフレの原因は、主に良いインフレと悪いインフレ、そして円安によるインフレの3つに分けられます。
各インフレの原因と家計や世の中に与える影響などについて解説します。
良いインフレ
良いインフレとは、景気の回復につながるインフレのことです。
インフレによって物価が上昇したことで、企業に利益が生まれ、企業に利益が生まれることで従業員の給与が上昇し、さらに個人の消費が旺盛になります。
こうした好循環のきっかけになっているインフレは良いインフレと言えるでしょう。
悪いインフレ
個人消費が低迷しているために、インフレで物価が上昇しても企業は商品価格に転嫁できず、企業の利益を圧迫して従業員の給与が下がる。
インフレがこうした循環になっているときは、悪いインフレにあたります。
円安によるインフレ
円安がインフレを引き起こす場合もあります。
現在、多くの国がインフレに見舞われており、インフレを抑制するため各国の中央銀行は政策金利の引き上げを実施しています。
一方で、日本は現状緩和政策を堅持しているため、金利差から歴史的な円安水準を迎えている状況です。円安局面では、商品や原材料を輸入している企業にとっては不利に働きます。
これは仮に円安になり1ドル100円から200円になった場合、これまで輸入する際に1ドル100円を支払えば買えていたものに対して、200円の支払いが必要になるからです。
そのため円安になると原材料を輸入に頼っている企業は、原材料の調達コストが上昇するため、商品価格に反映させることが必要になります。
このような循環で円安はインフレを引き起こすのです。
日本の現状
日本は安い輸入品の増加や景気の弱さからくる需要低迷の影響で、物価は長い間低迷を続けています。
消費者物価指数を見ても、消費税が5%から8%に上昇した2014年を除けば、前年比でほとんど伸びていないことがわかります。
しかし2022年4月以降は、日本においても2.0%を超える物価上昇が続いています。物価上昇の背景には、歴史的な円安や、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー価格の上昇などがあります。
物価上昇が継続するかは不透明ですが、日本もインフレを警戒する必要があるでしょう。
世界の現状
世界の物価動向はどうなっているでしょうか?世界の物価動向について見てみましょう。
代表的な国の物価上昇率(前年比)は以下の通りです。いずれの国も日本より物価上昇率の伸びが大きいことがわかります。
物価上昇率(前年比)(単位:%)
アメリカとイギリスは、コロナ禍から経済が急回復しており、人手不足による人件費の高騰や、原料不足による資源価格の高騰、エネルギー価格の上昇などの理由で消費者物価指数(前年比)は急上昇しています。
2022年10月時点での消費者物価指数(前年比)はアメリカが8.05%、イギリスは9.12%です。各国の中央銀行はインフレ対策として政策金利を引き上げていますが、現状では、大きな効果は現れていません。
中国
新型コロナウイルスの影響を受け始めた2020年、2021年の物価上昇率を見ると、イギリスやアメリカほど大きくないことが分かります。
イギリス
イギリスは新型コロナウイルスの影響を受けて景気が落ち込み、2020年は物価が下落。しかし、2021年から感染対策の規制が解除され、景気が回復基調に向かっていることから既にインフレの兆候が見られます。
アメリカ
アメリカもイギリスと同様の兆候が見られますが、イギリスよりも顕著です。
ハイパーインフレとは
極端なインフレのことをハイパーインフレーションと言い、日本ではハイパーインフレとも呼ばれます。
ただし、先に紹介したアメリカやイギリスの前年比8.0~9.0%程度ではハイパーインフレとは言いません。過去に起こったハイパーインフレの事例としては、2008年にジンバブエで発生した前月比796億%、2019年にベネズエラで発生した年率268万%のインフレなどがあります。
日本ではハイパーインフレが起こる可能性はほとんどありませんが、このまま日本と外国の金利差が進行すると、一晩でハイパーインフレになり得るという指摘もあるため、ハイパーインフレになる確率はゼロではないということは知っておきましょう。
インフレ対策の必要性
日本がハイパーインフレになる可能性は低いとしても、2022年4月以降、物価上昇が目立っています。
仮にこの物価上昇率が続いた場合、物価上昇率以上で資産運用をしなければ資産は目減りしてしまうでしょう。
資産には、インフレに強い資産と弱い資産があります。現金も資産の1つですが、現金はインフレになると価値が目減りするため、インフレに弱い資産と言えるでしょう。
インフレに対抗するためには、現金を他の資産に変えて保有する必要があります。
インフレ対策のポイント
ここではインフレリスクから資産を守る方法について解説します。
インフレ対策として有効な資産としては「有価証券」「外貨」「不動産」の3つが挙げられます。
有価証券
代表的な有価証券として株式があります。
景気が良くなって物価が上昇し、企業の売上も上がると、個別の株式も上昇する可能性が高いため、インフレ局面では有価証券の保有をおすすめします。
ただし景気が良いからといって、必ず全ての株式の株価が上昇するわけではありません。
個別の株式銘柄の保有が不安な方は、投資のプロに運用を任せられる投資信託を選びましょう。
外貨
円の価値が低下すると、米ドルやユーロといった外貨の価値は相対的に上昇します。
円と外貨をバランス良く保有しておくことで資産の目減りを抑えられるでしょう。
不動産
不動産は実物資産です。モノである不動産の価格は、一般的にはインフレ局面において上昇することでしょう。
不動産投資を行っている場合は、インフレの影響によって賃料の上昇も期待できるでしょう。
不動産投資とは「アパートやマンションなどの不動産物件を購入して第三者に貸し出し、その家賃を利益として受け取る投資方法」のことです。
インフレの進行に応じて物件が値上がりする売却益(キャピタルゲイン)と、値上がりする賃料収入(インカムゲイン)両方のメリットを享受できるのが不動産投資の魅力です。
分散投資
インフレ対策に有効な資産には、価格変動のリスクがあるというデメリットがあります。価格変動リスクを抑えるためには分散投資が有効です。
分散投資には、「時間の分散」と「商品の分散」の2通りあります。
時間の分散
積み立て投資のように、一度にまとまったお金を投資せずにコツコツと積み上げていく投資方法です。
価格変動をする商品は、毎月決まった時期に一定額を購入し続けることで、平均購入単価が下がり、元本割れがしにくくなるという特徴があります。
時間の分散は、ドルコスト平均法とも言われます。
商品の分散
投資では、「たくさんの卵をひとつのカゴに盛るな」という格言があります。
これは1つの資産だけで運用せず、値動きの特徴が異なる資産を複数保有することで、投資の価格変動リスクを抑えられるというものです。
代表的な組み合わせは、株式と債券の組み合わせです。原則、株式と債券は値動きの特徴が異なるため商品の分散方法の1つとして知っておきましょう。
長期投資
価格変動のある資産のリスクを抑えるためには、長期投資も有効です。
価格変動する資産は、1年単位で見るとプラスとマイナスの値動きが大きい資産であっても、長期間保有することでプラスとマイナスを相殺し合い、リターンが安定するという特徴があります。
日常生活でもできるインフレ対策
インフレに強い資産を保有する以外に、効率的なお金の使い方をするだけでもインフレ対策として十分有効です。
節電やガソリン代、食費など使い過ぎているモノはないか確認をして、節約を心がけてみましょう。
見直しの際は、スマートフォン料金や生命保険料、自動車保険料やサブスク料金など毎月、支払う金額がほぼ一定の固定費から見直すと効果的です。
その他、クレジットカードや電子マネーで決済したときに貯まるポイントも、現金と同様に使える場合があるため、有効活用すると良いでしょう。
今後の見通しとまとめ
コロナ禍から急速に経済が回復し、人不足、原料不足から世界的なインフレが続いています。
また長年デフレが続いていた日本もいよいよインフレの兆候が見え始めています。今後、企業の賃上げが広がっていけば、日本も本格的なインフレ局面に入っていくでしょう。
日本が本格的なインフレ局面に入る前に、早めにインフレ対策を立てておくことをおすすめします。
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監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)
管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士