不動産投資に活用できる資格12選|知識を得て成功率UPを目指す!


「不動産投資は扱う金額が大きいし、物件を売買するなら資格が必要なのでは?」と、思う人も少なくないようです。
結論から言うと、資格を持っていなくても不動産投資を始めて大家になることは可能です。
不動産投資用の物件を購入し、人に貸して賃貸収入を得る不動産投資を行うのに特別な資格は必要ないのです。
とはいえ、不動産投資の運用には不動産関連の法規や税制などの専門的な知識が求められる場面もあります。
「リスクに備えるため」「プロと同じ視点で正しい判断をするため」に資格の勉強をするのなら、役立つ場面も多いのではないでしょうか。
今回は、不動産投資に役立つ可能性のある資格を12個紹介します。
「不動産投資を成功に導くため」「正しい知識を身につけるため」に資格の取得を目指したいと考えている人は、参考にしてみてください。
不動産投資に資格は必須ではないが知識が役立つ場面も
賃貸マンションの契約やマイホームの購入時には、宅地建物取引士など、有資格の営業担当から説明を受けることがあります。そのため「不動産投資を行うには資格が必要」と思う人も少なくありません。
しかし先述した通り、資格がなくても不動産投資は始められます。副業で不動産投資を行っているサラリーマン大家さんのようなケースだと、資格を持っていない人のほうが多いのではないでしょうか。
とはいえ、資格は不要でも不動産投資に関する一定の知識は必要です。
不動産に関連する法律や税金、物件についての知識や、キャッシュフローを重視した経営に関する知識まで、さまざまな知識と適切な情報判断能力を求められます。
資格がなくても不動産投資はできるのですから、資格の取得自体を目的にする必要はありません。
しかし、正しい知識と情報判断能力を身につけることを目的とした勉強なら、不動産投資において、役立つ場面は多いのではないでしょうか。
不動産投資は他の投資に比べて、自助努力で収益をコントロールしやすい部分も多いため、資格の勉強で得た知識を活かせば、不動産投資の成功率をUPさせることができるかもしれません。
不動産投資に役立つ資格12選
ここでは、不動産投資に役立つ可能性のある資格を紹介していきます。
学べる内容、活用できる場面とあわせて試験概要も紹介していきますので、資格取得に向けた勉強の参考にしてみください。
1.宅地建物取引士
通称「宅建」の宅地建物取引士は、不動産の売買・賃貸取引の専門家であることを証明する国家資格です。
不動産業界では必須の資格とされており、勉強するだけでも不動産取引に関連する基本的な法律や税金知識を身に付けることができるでしょう。
不動産取引に関する契約書や重要事項説明書を見る機会は多いため、そういった際に適切な判断ができるようになります。
学べる内容 | 不動産(土地・建物)の取引に関する法律・税金・権利関係など |
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活用できる場面 | 不動産売買や賃貸借契約締結に必要な重要事項説明書の内容やについて、プロと同じレベルで理解して判断できる |
試験日 | 毎年1回、10月の第3日曜日 |
試験の方法 | 50問・4肢択一式(4問から正しい回答を1つ選ぶ) ※国土交通大臣が認めた登録講習機関で所定の講習を修了し、修了試験に合格した日から3年以内に試験を受ける「登録講習修了者」は、一部試験が免除され45問のみとなる |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 7,000円 |
合格率 | 17.9%(2021年度実施試験の合格率) |
出典:一般社団法人不動産適正取引推進機構ウェブサイト「宅建試験」
2. 賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士とは、マンションやアパートなどの賃貸住宅の管理に関する知識や技能・倫理観を持った専門家です。
賃貸不動産の所有者側から見た資産の有効活用、そして賃貸不動産の居住者側から見た生活面の安全・安心を管理するための知識が身につきます。
賃貸不動産を管理して収益を出す大家さんにとっては、もっとも役立つ資格ではないでしょうか。
2022年6月に民間資格から国家資格へ移行したため、ここでは国家資格移行後の資格概要をまとめました。
学べる内容 | 賃貸不動産の管理に関する知識・技能・倫理観 |
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活用できる場面 | 賃貸不動産の管理・経営の実務全般のシーンで活用できる |
試験日 | 毎年1回、11月第3日曜に実施 |
試験の方法 | 50問・4肢択一式(4問から正しい回答を1つ選ぶ) |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 13,200円 |
合格率 | 31.5%(2021年度実施試験の合格率) |
出典:一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会ウェブサイト「賃貸不動産経営管理士」
3. マンション管理士
その名のとおり、マンションの維持・管理に関する専門家です。
マンションの管理組合の運営に必要とされる国家資格で、管理組合のさまざまな問題に対処するためのコンサルティング業務が可能です。
学べる内容 | マンション管理に関する法律・実務、管理組合の組織運営に関する法律・実務、マンションの構造や設備に関する知識など |
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活用できる場面 | マンション構造や設備、修繕費用の根拠や管理組合の運営の質を理解したうえで、維持・管理全般のシーンで活用できる |
試験日 | 毎年1回、11月の日曜日に実施 |
試験の方法 | 50問・4肢択一式(4問から正しい回答を1つ選ぶ) |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 9,400円 |
合格率 | 9.9%(2021年度実施試験の合格率) |
出典:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士とは?」国土交通省「マンション管理士になるには」
4.管理業務主任者
管理業務主任者とは、マンションの管理業者が管理組合等に対して管理委託契約に関する重要事項の説明や、管理業務を報告する際に必要な国家資格です。
先ほどのマンション管理士はマンション管理組合側の知識が求められるものでしたが、この管理業務主任者はマンション管理会社側の知識が求められます。
学べる内容 | マンション管理業務を管理会社として受託する際に必要となる法律・管理事務・実務などの知識 |
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活用できる場面 | マンション管理を受託する管理会社の質や業務内容を理解し、管理会社選びの際に役立てることができる |
試験日 | 毎年1回、12月の日曜日に実施 |
試験の方法 | 50問・4肢択一式(4問から正しい回答を1つ選ぶ) |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 8,900円 |
合格率 | 84.4%(2021年度実施試験の合格率) |
出典:一般社団法人マンション管理業協会
5.ファイナンシャル・プランナー技能士
ファイナンシャルプランナー、通称「FP」とは、人生の目標をかなえるために必要なお金に関する知識をもった専門家です。
国家資格の「ファイナンシャル・プランニング技能検定」は1~3級まであり、それぞれ難易度や受験資格が異なります。
不動産投資に活かす目的であれば、2~3級で「不動産」「タックスプランニング」を重点的に学ぶとよいでしょう。
学べる内容 | 不動産の知識から、保険や住宅ローン、相続の知識まで、お金に関する広範囲の勉強ができる |
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活用できる場面 | キャッシュフローの改善や資金計画を立てるときにお金全般の知識を活用できる |
試験日 | 毎年3回、1月、5月、9月の日曜日に実施 |
試験の方法 | 3級:
(学科試験)正誤式30問+3肢択式30問の60問 (実技試験)3肢択式5題の15問 2級: (学科試験)60問・4肢択一式(4問から正しい回答を1つ選ぶ) (実技試験) 3肢択式5題の15問 |
受験資格 | 3級:誰でも可能
2級:3級技能検定の合格者またはFP業務実務経験者(2年以上)など |
受験手数料 | 3級:(学科試験)3,000円(実技試験)3,000円
2級:(学科試験)4,200円(実技試験)4,500円 |
合格率 | 3級:(学科試験) 53.31% (実技試験)46.29% 2級:(学科試験) 25.46%(実技試験)40.03% (2021年度9月実施試験の合格率) |
出典:一般社団法人 金融財政事情研究会「ファイナンシャル・プランニング技能検定」
6.簿記検定
「簿記」とは、企業のお金のやり取りを記録する方法・帳簿付けを指します。簿記検定とは、その帳簿付けにまつわる実務処理を学べる公的資格です。
日々の帳簿付けの目的は、事業の決算と確定申告を行うこと。簿記検定で帳簿や決算の知識を身につけておけば、自身の不動産投資での確定申告もスムーズに行えるでしょう。
簿記検定は1~3級までありますが、知識の取得が目的であれば3級で十分でしょう。
学べる内容 | 帳簿付けや決算、確定申告など経理業務全般の基礎知識 |
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活用できる場面 | 確定申告書の提出やキャッシュフローの改善に役立てることができる |
試験日 | 毎年3回、2月、6月、11月の日曜日に実施 |
試験の方法 | 商業簿記 3題以内 |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 3級:2,850円 |
合格率 | 3級:27.1%(2021年度11月実施試験の合格率) |
出典:商工会議所「簿記」
7.不動産実務検定
不動産実務検定(旧称:大家検定)は、賃貸不動産の経営全般に関する基礎知識を学べる民間資格です。
大家さんとして身につけておくべき知識や実務の流れがわかるため、これから不動産投資を始めるという初心者に適しています。初心者の人は2級認定講座から学ぶとよいでしょう。
学べる内容 | 賃貸不動産の経営・実務全般の基礎知識 |
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活用できる場面 | これから不動産投資を始める際、何を学び、何をすればいいかがわかる。経営初期~実務全般のシーンで役立つ |
試験日 | 随時開催(ほぼ毎日全国の提携テストセンターで受験可能) |
試験の方法 | オンライン試験
2級:4肢択一式(4問から正しい回答を1つ選ぶ) |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 2級:7,700円 |
合格率 | 正答率70%
※日本不動産コミュニティー発表 |
出典:一般財団法人日本不動産コミュニティー「不動産実務検定 実施要領」
8. 投資不動産取引士
投資不動産取引士とは、投資用不動産の取引に特化した専門家を認定する民間資格です。
投資用不動産の売買・仲介に関するさまざまな関連法規・税金・建築の基礎知識と、実務上のスキルが身につきます。
自らの投資用不動産を購入するとき、管理会社に業務を委託して入居者を募るときなど、さまざまな場面で活用できるでしょう。
学べる内容 | 投資用不動産の取引に特化した基礎知識(関連法規・税金・建築関係・実務上の基礎知識)など |
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活用できる場面 | 投資用不動産の購入や仲介時に交わす契約内容を理解し、適切な判断ができる。投資用不動産選びや税金対策、資金計画を立てるときに役立つ |
試験日 | 年に4回(1月、4月、7月、9月開催) |
試験の方法 | 指定の学習教材を受講後、オンライン試験 |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 2万4,200円(公式テキスト代を含む) |
合格率 | 非公開 |
出典:一般社団法人 投資不動産流通協会
9. ホームインスペクター(住宅診断士)
ホーム・インスペクター(住宅診断士)とは、住宅の劣化状況や不具合の箇所を目視で確認し、メンテナンスに関するアドバイスを中立的な立場で行う専門家です。
ホームインスペクターを取得すれば、「不具合の事象はどこにあるのか」「あと何年くらい持つのか」「修繕に適した時期や費用の目安はいくらか」などが総合的にわかるようになります。
投資用不動産のコンディションを適正に把握してメンテナンスをしていきたい大家さんに適しています。
ただし建築に関する深い知識が求められるため、資格の取得は容易ではありません。資格取得ではなく、資格勉強を通じて知識を得ることを目的にしましょう。
学べる内容 | 住宅全体の劣化状況や欠陥の有無を目視で確認するための基礎知識と、修繕の方法や費用相場の実務的な基礎知識 |
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活用できる場面 | 投資用不動産の劣化状況やメンテナンスが必要な時期・修繕費用の目安を目視で判断できるようになる |
試験日 | 年に4回(3月、6月、9月、12月開催) |
試験の方法 | オンライン試験
4肢択一式 50問(4問から正しい回答を1つ選ぶ) |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 1万5,000円 |
合格率 | 31%(第14回開催時期の実績) |
出典:日本ホームインスペクターズ協会「ホームインスペクターになるには」
10.サブリース建物取扱主任者
サブリース建物取扱主任者は、サブリース契約に関する基礎知識やサブリースを利用した賃貸経営の手法を実務レベルで学べる民間資格です。
サブリース契約についての関連法規を理解できるようになるため、自身が契約を結ぶときにも役立ちます。
テストのような試験があるわけではなく、指定のDVDまたはWEB講習を受講してレポートを提出するものになるため、他の資格より比較的取得が容易な資格と言えます。
学べる内容 | 不動産におけるサブリースの基礎知識からサブリース関連法規、サブリース契約に関する実務的知識など |
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活用できる場面 | サブリース契約を結ぶときの契約書の内容が適正なものか判断できる |
試験日 | 試験はなし。通信講座の受講は随時受付中 |
試験の方法 | 全4時間のDVDまたはWEBの講習受講+レポートを提出。レポートで一定水準以上の成績を収めれば資格認定される |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 3万1,370円(通信受講料込みの値段) |
合格率 | ― |
出典:NPO法人日本住宅性能検査協会「サブリース建物取扱主任者」
11.土地活用プランナー
土地の活用に関するさまざまな専門知識を持てる民間資格です。
土地の形状や立地にあわせた活用方法に関連する税法や法律、事業収支などの基礎知識を取得できます。
すでに土地を所有している人や、土地の購入から不動産投資を考えている人であれば活用方法を考えるきっかけになるでしょう。
学べる内容 | 土地活用に関する法規、税金、事業収支などの基礎知識や活用事例 |
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活用できる場面 | 土地購入からの不動産投資を考えている場合、立地を活かした不動産投資戦略を立てられるようになる |
試験日 | 9月・2月(年2回開催) |
試験の方法 | 4肢択一式 40問(4問から正しい回答を1つ選ぶ) |
受験資格 | 誰でも受験可能。年齢・性別・学歴などの制約はなし |
受験手数料 | 7,700円 |
合格率 | 非公開 |
出典:公益社団法人 東京共同住宅協会 認定資格「土地活用プランナー」
※上記に掲載しました資格試験の内容については本記事作成時に各実施先の公表する情報に基づき作成しておりますが、変更の可能性もありますので各資格試験の詳細につきましては、各実施先の公表する情報をご確認ください。
12.その他の不動産投資に役立つ資格
その他にも不動産に関する資格はいろいろとあり、有名なものであれば以下の2つが挙げられます。
不動産鑑定士
不動産の経済的価値を鑑定する専門家であり、難易度も非常に高い国家資格です。
司法書士
おもに不動産登記や商業登記などの登記業務を行う、法律の実務に関する国家資格です。
上記の2つはいずれも資格取得の難易度が非常に高く、資格だけで職業として成り立つものです。不動産投資や本業をこなしながら片手間の勉強をしても取得は難しいでしょう。
資格の取得を目指すのではなく、参考書を読んで周辺知識を身につけることを目的に勉強してみるのがおすすめです。
不動産投資関連の資格受験の際に注意すべきこと
ご紹介した資格の中には、試験が年に複数回開催されるものもあれば、年に1度しか実施されないものもあります。
申込の締切日が、試験日の2か月前に設定されているものもありますので、うっかり申込を忘れていた……なんてことにならないよう、早めに申し込むようにしましょう。
また、受験資格は特に定められてないものがほとんどですが、ものによっては実務経験や下位級の合格が必要なものありますので、必ず受験前に確認するようにしてください。
不動産投資において資格取得よりも大切なこと
多くの場合、不動産投資の目的は健全な運営によって利益をあげることではないでしょうか。不動産投資の健全な運営と利益の追求に資格の取得は必須ではありません。
目的にするべきは、資格の勉強の過程で得られる「正しい知識」の取得です。
合格をモチベーションに利用して勉強するのは良いですが、合格することのみを目的にしてしまわないように気をつけてください。
不動産投資は知識を身につけるだけではなく、情報収集や管理を任せるパートナー選びも重要です。
不動産投資の関連書籍やウェブ上のコラム記事、不動産投資セミナーなど、さまざまな場所からの情報収集に努め、信頼できるアドバイザーやパートナーとなる不動産会社を見つけてください。
資格の勉強で得た知識と自ら調べて得た情報は、不動産投資のさまざまな場面で役立つはずです。
【まとめ】不動産投資の資格は知識取得に役立つ
不動産投資は特別な資格がなくても始めることができます。
ですが、資格が必要ない=勉強も必要ないというわけではありません。
不動産やマンション管理に関する資格の勉強をすることで関連法規や税金、建築関係の基礎知識が身につきます。
契約書や重要事項説明書の確認や不動産投資物件を確認するときに役立つ上、何よりプロと同じ視点を持てるのは大きなメリットです。
資格の取得を通じて「不動産投資に役立てたい」「勉強してもっと利益を追求したい」人は、この機会に不動産投資に関連する資格の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
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監修:小泉 由貴乃(レイビー編集長)
管理業務主任者、マンション管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士

監修:東海林 康太(賃貸管理の専門家)
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士