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個人事業主の不動産投資|懸念点や法人化すべきタイミングは?
不動産投資といえば、大手企業の会社員や経営者、医師などが行っているイメージが強いかもしれませんが、自営業やフリーランスでも不動産投資を行っている方はたくさんいらっしゃいます。
ただし、自営業やフリーランスの方は、金融機関からの融資を受けることが難しい場合が多いのが実情です。
では、個人事業主が不動産投資を行うにはどうすればよいのでしょうか?
おさえておくべきポイントを解説していきます。
個人事業主でも不動産投資はできる
個人事業主は、公務員・会社員などと比べ収入が不安定と見られる可能性があるため、不動産を購入するための資金を金融機関から借りて、不動産投資を行うのは難しいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言えば、個人事業主でも金融機関から融資を受けて不動産投資を始めることはできます。
個人事業主が不動産投資を行う目的の一つとして、「本業以外での安定した収入確保」があげられます。
個人事業主の場合、思うほど仕事をこなせなかったり、売り上げが期待より下回ってしまった場合、収入が減ってしまいます。
このような不安を解消するために、不動産投資を始める方が多いのです。
ただし、個人事業主はサラリーマンに比べ金融機関からの融資を受けることが難しいのが実情です。
一般的に、収入が安定していないとされるため、返済能力が低いと判断されてしまうからです。
しかし、個人事業主でもローンの返済能力が十分にあると評価されれば、不動産投資を行うために融資を受けることは可能です。
融資を受けやすくなるためにおさえておきたいポイントについては後程、詳しくご紹介させていただきます。
個人事業主が不動産投資を行う4つのメリット
個人事業主が不動産投資を行うメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
本業以外に安定した収入を得られるようになる
収入源をいくつか持っておくことで、リスクヘッジをすることができるようになります。
不景気の影響を受け本業の収入が急激に減ってしまった場合でも、賃貸経営が安定していれば、家賃収入を得ることで本業の不振をカバーする保険のような位置付けにすることができるのです。
本業に支障が出にくい
物件管理などは専門の業者に任せることもできるので、手間のかかる作業は少なく、賃貸経営が軌道に乗り安定した収入が得られる状態であれば、本業に支障をきたすことはほとんどないでしょう。
そもそも、個人事業主の場合、自らの裁量で仕事ができる場合が多いので、時間の融通が利く方が多く、この点においては公務員・会社員と比べて有利だと言えるでしょう。
不動産投資の費用は経費計上できる
不動産投資にかかった費用の一部は、経費として計上することができます。
例えば、固定資産税、保険料、物件の管理費・修繕費、ローン金利などです。
確定申告を行う際に課税対象となる「不動産所得」とは、不動産投資で得られた総収入額から経費を引いた金額です。
不動産所得については詳しくは「家賃収入にかかる税金は?計算方法と確定申告のやり方を知ろう!」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
青色申告をすれば控除を受けられる
不動産投資では、物件購入費用以外にも管理費・修繕費、税金や保険料などの費用がかかります。
青色申告をすれば不動産投資で得た所得から10万円もしくは、最大65万円の控除を受けられます。
確定申告をする場合、毎年2月16日から3月15日までに税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しましょう。
確定申告について詳しくは「家賃収入がある人の確定申告とは?申告漏れと罰則に気をつけよう!」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
個人事業主が不動産投資を始める際の懸念点
個人事業主が不動産投資を始める際、一番の懸念点は、金融機関からの融資を受けようとする際、やや不利だと言える点でしょう。
実際にどのような影響があるのか解説していきます。
金融機関から融資を受けにくい
自営業やフリーランスの場合、収入が安定しないため金融機関の審査が厳しくなります。
金融機関が審査で重視するのは、申告した所得です。
節税のために所得を少なく申告していた場合、融資を受けられる金額も少なくなってしまいますので、この点には注意が必要です。
突発的に費用が発生することがある
不動産投資は、物件の購入以外にもさまざまな費用がかかります。
例えば、固定資産税・火災保険料などは毎年発生します。また、災害が起きたり、築年数が古くなれば修繕費用が必要になります。
そのため、本業の収入が安定しておらず、十分な貯蓄がない場合、必要な修繕を施すことができず、結果的に入居者の退去に繋がり、家賃収入がゼロになってしまう可能性もあります。
黒字になるまでに時間がかかることがある
賃貸経営で得た収入を最大化するには、不動産投資についてさまざまな知識が必要です。
経費計上をきちんと行わなかったために十分な節税効果を得られなかったり、物件選びで失敗して空室率が上がり、安定した収入が得られないということも起こり得ます。
また、頭金を入れなかった場合は、収支がプラスになるのは基本的にはローンの返済後です。
「こんなはずでは…」と後から困ることがないようにしっかり知識をつけてから不動産投資を始めましょう。
個人事業主が金融機関から融資を受けやすくなるための3つのポイント
個人事業主でも融資を受けやすくするためには、ローン返済が滞りなくできるということを証明する必要があります。
それでは、おさえておくべきポイントを確認していきましょう。
貯蓄や財産などを資料にまとめておく
金融機関にローンの返済ができることを証明するために、保有している預貯金や株式投資・投資信託などの金融資産を資料にまとめておきましょう。
また、事業計画書や資金繰り表などを提出すると有利に働く場合があります。
クレジットカードやローンなどの返済や税金を滞納しない
クレジットカードやローンなどの返済を滞納すると、金融機関から返済能力に問題があると判断されるため、融資を受けにくくなります。
また、複数のローンがあったり、借りている金額が多かったりすれば、融資を受けられる金額が少なくなる可能性もあります。
税金、社会保険料、公共料金などの滞納にも注意しましょう。
親族など信頼できる人に保証人になってもらう
個人事業主の方が金融機関から融資を受けるには、保証人が必要な場合が多くあります。
もちろん、物件評価が高い場合や借入金額によっては、保証人なしでも融資を受けられる場合はありますが、希望する金額まで十分には借りられない可能性もあります。
可能な限り多くの融資を受けるためには、保証人はサラリーマンなどの安定した収入を得ている親族などにお願いするといいでしょう。
確定申告で計上できる経費
不動産投資で得られる収入は、本業で得た収入と合算できます。
本業で得た収入から不動産投資で使われた経費を差し引いた額が所得額になります。
確定申告で漏れなく経費計上することで、課税所得を少なくすることが可能になります。
例えば、固定資産税・不動産取得税などの税金、火災保険料・地震保険料などの損害保険料、司法書士や税理士に支払う報酬などです。
経費はこれ以外にもたくさんの種類があります。
詳しくは「家賃収入は確定申告が必要?不動産所得の経費について【徹底解説】」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
個人事業主が不動産投資をする際の3つの注意点
個人事業主は収入が不安定な場合が多いため、ある程度まとまった資金を準備しておかなければいけません。
安定した賃貸経営を続けるためにも次の点に注意しておきましょう。
空室、災害など突然の出費に備えて資金を確保しておく
不動産投資には、賃貸物件の空室、家賃の滞納、突然の災害などいろいろなリスクが伴います。
このような問題が発生した場合にも対応できるような資金を確保しておくことが重要です。
貯蓄や収入に見合った金額の融資を受ける
金融機関で借りられる金額が、余裕をもって返済できる金額とは限りません。
融資を受ける額が多ければ多いほど、月々の返済金額も高くなります。
まずは、自分の収入で毎月どれくらい返済できるか、本業で収入が減った場合、貯蓄でどれくらい補えるかなどを考慮した上で自分に見合った金額の融資を受けましょう。
一定以上の収入がある場合は、法人化を検討する
日本では、所得が高くなるほど税金も高くなる仕組みになっていますが、法人化することでこれを軽減することは可能です。
賃貸経営で得た収入が増えている場合、もしくはこれから複数の物件の購入する場合は、法人化を検討すると良いでしょう。
個人事業主が法人化するタイミングは?
個人事業主の場合、賃貸経営で得た収入が増えると、法人に比べ税率が高くなります。
不動産投資で得た年間所得が900万円を超えた場合、所得税率が法人税を上回ってしまいます。
中小法人・一般社団法人などの場合は、所得が800万円を超えると23.2%になるため、所得が900万円を超えたあたりで法人化した方がいいでしょう。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え、4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁 所得税の税率
区分 | 平成30年4月1日以降 開始事業年度 |
中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているものまたは人格のない社団等年800万円以下の部分 | 19%または15% |
中小法人、一般社団法人等、公益法人等とみなされているものまたは人格のない社団等年800万円超の部分 | 23.2% |
出典:国税庁 法人税の税率
法人化によるメリットとデメリット
収入が増えたからといって必ず法人化すればいいというものではありません。
法人化するメリットもデメリットもありますので、それぞれ、どのようなメリット・デメリットなのかを確認した上で、自分の実情に合った選択をしていきましょう。
メリット
法人化すると、これまで支払っていた税金を減額できる可能性があります。また今後、不動産を相続する可能性がある場合、法人化しておくと節税対策になります。
そもそも法人には相続という概念が存在しないため、相続税や贈与税は発生しないのです。
また、法人化すると個人に比べて経費計上できる費用の種類が増えます。
例えば、個人事業主が加入している生命保険は経費にできませんが、法人化して、保険の契約者を法人、受取人を役員にすることで保険料を経費として計上することが可能になります。
デメリット
法人化には複雑な手続きが必要となります。
例えば、法人化に必要な書類の作成・法務局での申請手続きなど、全て自分でおこなうには2~3ヶ月以上かかることもあります。
専門知識を持つ行政書士や司法書士に依頼することもできますが、委託費用がかかります。
また、法人化すると会計が複雑になるため、税理士や会計士などに書類の作成を依頼する必要も出てくるので、そのための費用も発生します。
法人化すると団信は使えない
個人で不動産投資をするにあたっては、団体信用生命保険(以下、団信)が使えるというメリットがあります。
団信は、もし融資を受けている契約者が亡くなった場合には代わりに保険で一括返済できる、というものです。
そのため、不動産投資ローンの契約者が亡くなった場合、相続人は残債を支払わずに物件を相続することが可能です。
しかし、団信の保険金額には1億円程度の上限(金融機関によっては3億円)があります。
そのため、これから不動産投資物件を増やしたい方は、団信によって享受するメリットにも限界があることから、場合によっては法人化することも検討すると良いでしょう。
詳しくは「不動産投資が生命保険の代わりになる理由と覚えておきたいリスクとは」でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
まとめ
不動産投資を個人事業主が行う場合、不利になる部分があることは否定できませんが、それをカバーするだけの預貯金や金融資産があれば金融機関の融資も受けやすくなります。
そのためには、自分の持っている資産を把握しておくだけでなく、さまざまなリスクに対応できるように普段から準備しておくことが大切です。
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