リスク管理方針
当社グループでは、サステナビリティ等の新たな領域のリスク管理の必要性や、リスクカルチャーのさらなる深化の必要性を踏まえ、以下のリスク管理方針を取締役会で決議しています。
- GLM
VISION2030等の戦略の遂行において克服すべきリスクを包含したフレームワークにより、これらのリスクを一元的に可視化、全社的に共有・議論する。
―戦略の遂行において克服すべきリスク領域(「戦略リスク」)や、事業の円滑な運営を阻害するリスク領域(「オペレーショナルリスク」)に、各種のリスク区分を設定し、機会への取り組みやリスクへの対策を強化する。 - 経営陣が考える「重要リスク」を定義・特定・管理し、経営陣のリスク管理への関与を高め、リスクカルチャーを深化させる。
リスク管理体制

当社グループでは、ボトムアップ及びトップダウンの両面から、定期的にリスクを把握・評価し、リスクへの対策と機会への取り組みを推進しています。 ボトムアップにおいては、「戦略リスク」「オペレーショナルリスク」の全てのリスク区分において、各々のリスク管理部署が、リスクアセスメントやリスク事象報告によるリスクの把握、評価を通じて、優先的に対策し取り組むべきリスクを特定しています。 トップダウンにおいては、ボトムアップで洗い出された優先的に対策し取り組むべきリスクを参考に、経営陣としての中長期の戦略的視点や環境認識も含め、新たにリスクの把握、評価を行っています。その後、リスク対策・コンプライアンス委員会や取締役会での審議を経て、当社グループとして重点的に対策し取り組むべき「重要リスク」を決定しています。 リスク対策・コンプライアンス委員会は、四半期毎に開催され、「重要リスク」の審議やモニタリングを行っています。
重要リスク
当社グループとして決定した「重要リスク」は下表の通りです。 これらのリスクの内容と対応策は重要リスクの内容と対策・取り組みに記述しています。
重要リスク | 領域 | リスク区分 | マテリアリティ 関連 |
影響度 | 将来の 見通し |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
経済 損失 |
信用 評判 |
事業 継続 |
生命 身体 |
|||||
1気候変動リスク | 戦略 | 気候変動 | ⚫️ | 中 | 大 | - | - | ↑ |
2.人材確保に 関するリスク |
戦略 | 人的資本 | ⚫️ | 中 | 小 | 中 | - | ↑ |
3.新規事業等に 関するリスク |
戦略 | 事業構造/ DX |
⚫️ | 大 | 小 | - | - | ↑ |
4.特定販売先・ 商品への 依存リスク |
戦略 | 事業構造 | ⚫️ | 大 | - | - | - | ↑ |
5.有利子負債への 依存リスク |
戦略/ オペ |
財務 | ⚫️ | 中 | 大 | 大 | - | ↑ |
6.重大な 法令違反リスク |
オペ | コンプライアンス | - | 小 | 大 | 大 | - | → |
7.サイバー セキュリティリスク |
オペ | システム/ 情報漏洩 |
- | 小 | 大 | 中 | - | → |
8.災害・ パンデミックリスク |
オペ | 災害 | - | 大 | - | 中 | 中 | → |
9.品質不良に 関するリスク |
オペ | 業務 | ⚫️ | 大 | 大 | - | 小 | → |
10.原材料費・ 人件費高騰のリスク |
オペ | 経営管理 | - | 大 | - | - | - | ↑ |
重要リスクの内容と対策、取り組み
気候変動リスク

内容
気候変動がもたらす風水害等の物理的リスクや、諸制度の変化等の移行リスクが顕在化した場合、当社グループの事業環境が想定を超えて変化する可能性や、リスクへの対応の不十分性が発露する可能性があり、売上高の減少や信用・評判の毀損等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、気候変動への対応を「マテリアリティ」として位置づけ、アクションプランを推進し、企業理念「不動産を通じて豊かな社会を実現する」を追求してまいります。
人材確保に関するリスク

内容
少子高齢化や感染症の拡大がもたらした行動変化、サステナビリティの重要性の高まり等により、当社グループを取り巻く社会構造や事業環境が大きく変化するなか、新たな価値を創造し続け、競争優位性を確保していくための原動力は人材であると考えています。人材の継続的な確保や育成ができない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、長時間労働の削減や有給休暇の取得奨励はもちろん、フレックスタイム制や在宅勤務制度等、社員の多様な働き方に対応した施策を導入しています。また階層別やテーマ別での様々な研修を実施する等、社員の成長に向けた投資を推進しており、社員に選ばれる企業を目指しています。
新規事業等に関するリスク

内容
収益構造の多様化による安定的な事業基盤の構築に向け、新規事業の立ち上げ等に取り組んでいますが、新規事業への参入には様々なリスクを伴います。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、リスクを極小化し、またリスクが顕在化した場合の影響を最小限にとどめるため、「事業投資等に関する規程」を制定し、その推進体制や参入・撤退基準、並びにモニタリング方法を明確化する等の内部管理体制を整備しています。また新たな関係会社の増加に備え、「関係会社管理規程」を制定し、定期的に報告を求め、適宜指示する体制を整備しています。
特定販売先・商品等への依存リスク

内容
当社グループは機関投資家向けの1棟バルク販売に注力しています。金利政策の変更、世界的な景気後退、地政学的リスクの顕在化等により、機関投資家の購買意欲・価格目線が低下した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、不動産の環境対応等により、差別化・高付加価値化等を図り、投資家への訴求力の最大化に努めています。中長期的には、新規事業やストックビジネスの強化により、景気変動等の外部環境変化に対応可能なビジネスモデルへの変革に取り組んでいきます。
有利子負債への依存リスク

内容
当社グループは、物件の仕入等において、必要資金の大部分を、金融機関からの有利子負債により賄っています。そのため市場金利の上昇局面においては、資金調達コストが増加する可能性があります。また財務の安全性指標の悪化等により、資金調達に支障を来すこととなる場合には、事業継続への影響や信用・評判への影響が生じ、売上高の減少等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、オフバランス開発の強化に取り組むとともに、中長期的な財務戦略のもと、取引金融機関の構成の見直しやバランスシート思考の推進等により、各種財務指標の改善に取り組んでいます。
重大な法令違反リスク

内容
当社グループの属する不動産業界は、宅地建物取引業法、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律、不動産特定共同事業法、マンションの管理の適正化の推進に関する法律等、多数の法的規制を受けております。法令対応等が疎漏した場合や法令違反が生じた場合は、業務停止等の行政処分が下される可能性があり、また信用・評判への影響から、売上高の減少等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、常時、法令等改正に係る情報収集に努めており、これらに迅速に対応する社内体制を整備しています。
またリスク対策・コンプライアンス委員会で審議したコンプライアンス計画に基づき、コンプライアンス研修を社員に対し定期的に行う等、コンプライアンスの徹底に努めています。
サイバーセキュリティリスク

内容
サイバー攻撃や不正アクセス等により、情報システムが正常に利用できない場合や個人情報等が漏えいした場合、事業継続への影響や信用・評判への影響が生じ、売上高の減少等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、「マテリアリティ」としてDXへの取り組みを推進しており、情報セキュリティの重要性はこれまで以上に高まっています。 ハード面では、ネットワーク防御機器(UTM)の強化等を推進し、サイバー攻撃に対する防御力の向上に努めています。ソフト面では、情報セキュリティ基本方針やプライバシーポリシー等を整備し、また社員への定期的な教育・啓蒙を図ることで、組織全体のセキュリティレベルの向上に努めています。
災害・パンデミックリスク

内容
年初に発生した能登半島地震等の大地震や風水害等の自然災害、戦争やテロ等の人為的災害、並びに感染症の蔓延により、従業者や当社グループが保有・管理している資産が被災した場合、当社グループの事業継続や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、災害発生時の防災や減災を推進するため「事業継続管理規程」を制定し、各種の災害に対し、事業継続計画(BCP)を策定し、非常時の指揮命令系統、事業継続のための行動計画等を定めています。また通常時においては、同規程に基づき、定期的に大規模災害を想定した訓練を実施し、事業継続計画(BCP)に定められた対応の確認(役職員の生命や安全の確保、指揮命令系統の確立、事業復旧等)を行っています。
品質不良等に関するリスク

内容
不動産開発事業において設計・施工等の不備が発生した場合、またプロパティマネジメント事業において管理上の不備が発生した場合は、当社グループの信用の毀損、想定外の費用の発生及び開発計画の遅延が生じる等、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
不動産開発事業においては、一定の信用力・技術力を有する第三者に建物の設計・施工業務等を発注し、その設計・施工における品質を確保するため、当社グループにて独自の品質基準を定め、設計・施工業務等の発注先による遵守徹底を図るとともに、発注者として施工状況の確認及び品質検査を実施しております。プロパティマネジメント事業においては、業務内容に応じたマニュアルを策定の上、研修・OJTを通じて業務品質を確保しています。
原材料費・人件費高騰リスク

内容
当社グループの各事業は、建築工事費、エネルギーコスト、人件費等、各種原価の価格変動にさらされています。 当社グループの各事業において、各種原価の上昇分を販売価格や賃料等に反映できず、収益性が悪化した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対策・取組み
当社グループでは、各種原価の価格変動の要因・動向を注視し、適切な対策を講じることにより、各種原価のコントロールに努めています。
危機管理体制
当社グループでは、リスク事象が発生した場合に備え「リスク事象報告」制度を設け、リスク管理部署による適切な原因分析と再発防止策の実施を推進しています。 またリスク事象が当社の定める緊急事態に相当する場合には、事業継続管理体制(BCM)に基づく緊急対策本部が設置され、経営陣の指揮の下、トラブル対応、再発防止対応がなされる体制を整備しています。